二木昇平(ふたきしょうへい)医師
二木皮膚科院長・虎の門診療所副院長。漢方専門医として健康食品による糖尿病予防について各種メディアで情報発信を行なっています。健康的に糖尿病を改善する情報をまとめるために、今回二木医師に監修をお願いしました。
インスリンの分泌量が十分でなかったり、うまく作用しなかったりすることが原因で起こる、2型糖尿病の場合、身体の不調がゆっくり少しずつあらわれるため初期段階での自覚症状はほとんどないと言われています。気づいたときには合併症まで起こしていた、という状況にならないために初期症状を把握しておきましょう。最近、こんな症状に覚えはありませんか?
足の裏や指に「ぴりぴり」「じんじん」とした感覚が起こります。手に症状が出るのは少し進行してから。手袋や靴下に覆われる部分に出るのが特徴です。
細い血管の障害により、血流が行き届かなくなることで起こります。末梢に血液が行き渡らなくなると、酸素や栄養が運ばれなくなるので最終的には神経障害が発生。痛みやしびれの感覚が鈍くなっていき、足に傷ができても気づかないケースも。そのまま放置すると部位の壊死や壊疽に繋がり、最悪足の切断が必要になる可能性があります。
性的な刺激を感じづらくなり、勃起しなくなる症状です。原因は血糖値が高い状態が続くことにより陰茎に張り巡らされた血管がダメージを受け、神経に障害が起きるため。糖質の過剰摂取によって発生した活性酸素により血管が破壊されるため、勃起するためや勃起のための血流が阻害される理由もあります。
この場合、泌尿器科でEDの治療薬を処方してもらっても、根本的な原因が解決されていないのでうまく効果が得られない可能性があります。糖尿病の初期症状であることも視野に入れ、血糖コントロールに励みましょう。
皮膚が乾燥しやすくなり、かゆみを伴う場合もあります。血糖値が高い状態が続くと血管がダメージを受け、血流不良に。皮膚に必要な栄養や酸素が運ばれなくなるため、乾燥しかゆみが生じます。
皮膚が乾燥することで、皮膚が傷つきやすくなったり、水虫になったりする恐れがあるのが注意点。傷や水虫に気づかず、知らない間にそこから細菌感染して足が壊死してしまい足の切断に繋がる可能性もあります。
頻繁にトイレに行きたくなる症状です。糖尿病になると血液中の糖濃度が高まるのでなんとか糖を体外に排出しようと身体が作用し始めます。その結果、腎臓が大量に尿をつくり、頻尿・多尿が起こってしまうのです。
腎臓が通常よりも頑張って尿を作り続けることになるので、腎臓を酷使することになり機能が低下。その結果、頻尿がさらに進行したり、むくみやだるさ、貧血が起こることも。さらに進行すると、糖尿病腎症を発症して人工透析が必要になるケースもあります。
リラックスした状態でも汗がダラダラと出てきたり、起床後すぐに汗をかきはじめるような場合、糖尿病の初期症状である多汗を発症しているかもしれません。糖尿病により、体の中に溜まった糖を体外に排出しようと防御反応が起こるため、多量に汗をかく症状があらわれます。体臭から微かに独特の甘い臭いがすることも特徴です。
多量に汗をかくため、その分こまめな水分摂取が必要になります。水分不足になってしまうと、脱水症状が出たり、血管からも水分が失われ心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高まるので注意しましょう。
水をたくさん飲んでいるにも関わらず、のどが渇くようになります。血液中の糖濃度が高まり、汗や尿などで体外に糖を出そうと体が反応するため、頻繁に水分が体内から失われていくためです。喉の渇きは徐々に悪化していき、四六時中のどの渇きに悩まされることも。
のどが乾くことで頻繁に水分摂取するようになると、腎臓への負担を高めてしまったり、低ナトリウム血症を引き起こしてしまったりします。筋肉のひきつりやけいれん発作が出たら低ナトリウム血症を疑いましょう。また、口腔内が乾燥することで、空気感染などのリスクも上がります。